大阪国税局長賞
不満を抱く裏側で
滋賀県立八幡商業高等学校 2年 高橋 陽子
かつてはたくさんの若者が、少数の高齢者を支えていた。しかし、そのような時代は終わり、今度は少数の若者がたくさんの高齢者を支える時代へと突入した。このように少子高齢化が深刻化する中、私たちの身の回りの税金はどんどん増えていく。その上、戦争や新型コロナの影響で世界的な不況にも陥ってしまい、私たちの生活は苦しくなる一方だ。
私は、この先、大学へ進学して、自分の興味のあることや、やりたいことを見つけていきたいと考えている。しかし、学校の授業で税金について学んだとき、この先、働き盛りの若い世代の税金の負担が大きくなり、子育て支援や医療・介護・年金に使われることを知った。私は、大学進学時に奨学金制度を利用しようと考えているので、社会に出てから増え続ける税金と奨学金の返済などの自分が負担しなければいけないお金について考えることになり、この先本当に大丈夫なのかと心配になった。それと同時に、これから先、やりたいことがいっぱいある若い世代がなぜ税金によって大きな負担を背負わなければいけないのかと疑問に思った。しかし、税金について調べていくうちに、祖父のおかげで私の税金への考え方は変わった。私の祖父は九十七歳の要介護者だ。税についての学習で、税金は高齢者の介護費用にも使われていることを学んだので、祖父が利用している制度を調べた。すると、車いすや介護用のベッド、高齢者用のオムツなど、寝たきりの祖父が生活をするのに必要不可欠な物のほとんどが税金によって支援されていることを知った。このような税金の支援がなければ、祖父の介護をする八十代の祖母も、介護をされる側の祖父も、金銭面、生活面、健康面で常に不安に襲われて、今のように元気に生活をすることはできなかった。祖父は、認知症で私のことも家族のことも覚えていないけれど、毎日、おはよう、いってきます、ただいま、おやすみなどと挨拶をすると、必ず優しい笑顔で返してくれる。また、祖父や祖母のように税金によって生活を支えられている高齢者やその家族もたくさんいるはずだ。
増え続ける税金に不満を抱く人がいる一方で、税金で生活を支えてもらい助けられる人がいる。私自身も最初は、不満を抱く側の人間で、若者が税金で大きな負担を背負うのは高齢者優遇だと感じていた。しかし、違う視点で改めて考えてみることで、高齢者優遇なんかではなく、税金は、より多くの人にとって暮らしやすい社会をつくりだすための制度だと考えた。税金を納めることに不満を抱く人には、改めて税金の制度について考え直してほしい。その不満の裏で、実は自分も税金によって支えられていたという新たな気付きがあるかもしれないからだ。今後も課題はたくさんあるが、まず現状を知ることが大切だ。







