滋賀県租税教育推進連絡協議会賞

税の支え

滋賀県立彦根東高等学校 1年 山中 美緒

私が身近に感じる税金は消費税だ。昨年の十月一日から税率が一部八パーセントから十パーセントへ引き上げられた。これをうけて私は「嫌だな。」くらいにしか感じていなかった。だが、同居している祖父母の話を聞いて私たちの生活がいかに税金に助けられているかを感じることができた。

私の祖父は、盲目で手足も不自由だ。それゆえに障害認定をうけることができた。そのおかげで祖父の持病の定期受診にかかる費用の負担は一割、医療費の負担はゼロになった。もし、税金がなくて医療費を全額負担しなければならないとしたら、年金で生活している祖父母にはとても払える金額ではなかったと思う。もし、これから先祖父の体調が悪くなったとしてもお金のことは心配せずに病院にかかることができる。このことは、私たち家族の精神的な負担も軽減してくれている。

また、具合の悪い祖父ももちろん心配であったが祖父を清拭、排泄物処理など一日中介護している祖母の負担が大きくなっていることも心配であった。一時は祖父が祖母を大声で怒鳴ったりとお互いの余裕がなくなっているように感じた。そんな二人の姿をみて、とてもむなしい気持ちに襲われ、何もできない自分の無力さを痛感した。だが、税金からの補助があるおかげで、数カ月前から訪問介護をうけたり介護用品のレンタルをしたりすることができた。そのおかげで祖母は自分の時間をもてるようになり、笑顔で私に話しかけてくれることも増えた。祖母は「この税のおかげで負担が減らせてとても助かっている。」と言っていた。両親と話していても「訪問介護のおかげで祖母の息が詰まらなくて済んだ。頼れるところがあるのは安心だ。」というような話題もあがった。そして今では、祖父母が楽しそうに話し合う姿もたくさん見られるようになった。そのような姿を見ると私も暖かい気持ちになる。このような今まで当たり前だと思っていた幸せも税金がなければ存在しなかったかもしれない。

これまでに書いたように、私は税金で社会的弱者を助けることができるのだと感じた。高齢者、子ども、障がい者などどんな人も欠けてはならない存在だ。しかし直接手をさしのべることができる機会は少ない。だから、税金を払うことでそのような人たちの手助けができると考えれば気持ちよく納税できると思う。

しかし、税金を納めていない人もいるのが現状だ。脱税などのニュースを耳にすることも多い。悲しいことであるが、そのようなことが起こる原因の一つに情報不足も関係していると思う。社会保障はもちろん、警察、消防、道路の整備など私たちの身近なところで税金は生かされ、たくさんの恩恵を受けている。また、私たちが弱い立場になったとき、助けてくれるのも税金だ。そのようなことを心にとめておきながら皆が納税することで、安心して暮らせる社会がつくれると思う。

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