滋賀県租税教育推進連絡協議会賞

守りたいもの

滋賀県立国際情報高等学校 3年 吉野 かのか

「滋賀県独自の税を教えて欲しい」私は親に尋ねた。税について書く際に、国という大きな規模よりも、自分の住んでいる地域の身近なテーマの方が考えやすいと思ったからである。父から返ってきたのは「交通税」という聞き慣れない言葉だった。

交通税について、私は情報収集を行った。交通税とは、滋賀県の知事が導入を提言したそうである。採算が取れずに、運行が厳しくなっている鉄道やバスを維持するため、県民の税金で補おうというものだ。交通税が検討されているこのような背景を知り、似た内容の記事を見たことがあると思い返した。その記事は、ローカル線の維持が難しくなってきているJR西日本が、苦境路線存廃の議論を喚起するために収支を公表したというものである。滋賀県を含む多くの地域が抱えている路線の課題を改善する制度が誕生しようとしているということに、感心した。

しかし、交通税に対して、県民からは批判の声が強い。導入に反対している人の意見は「鉄道の利用状況が悪いから、存続せずに打ち切る方が良い」、「鉄道は利用者が少ないため、滋賀県の県民全員に税が課されるのは不公平だ」といったものが多かった。しかし私はそうは思わない。なぜなら、公共交通機関は、生活の土台として必要だからである。

私が小学校低学年の時、祖母の買い物について行ったことがある。祖母は、運転免許証を持っていなかった。そのため、水口方面にあるお店までバスに乗って移動し、買い物をしていた。このような、自らの力で移動することが困難な高齢者にとって、バスは有益な乗り物だと考える。滋賀県は、自家用車に依存している割合が高い県であるが、車だけでなく、バスが果たす役割も大きいと言える。

バスといえば、私が住んでいる湖南市には「こにゃんバス」という乗り物がある。交通税を調べる過程で新発見があった。目撃した人が楽しめるという目的だと思っていたが、こにゃんバスには動物愛護の願いも込められていたのだ。湖南市を走りめぐるバスは暖かい思いを乗せていると知ると、より大事にしたいと思えた。

協議会が何度も行われ、近江鉄道は存続されることとなり、喜びを感じる住民もいる。その一方で、間違いなく住民の負担が大きくなる。批判的な意見の多い交通税だが、私は導入するべきだと考える。赤字状態の続く鉄道を、高齢の方の移動手段としても利用されるバスを、生まれ育った滋賀県を、支えていきたい。

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