滋賀県租税教育推進連絡協議会賞
「タダ」ではない「無償化」
滋賀県立高島高等学校 1年 寺井 紅葉
この春、私は高校生になった。9年間の義務教育が終了し、これからは自分で学びの場を選択していかなければならなくなった。さらに私の住む地域には、それと同時に終了したものがある。「福祉医療費助成制度」、通称「マル福」だ。一般的に中学生以下は医療費1割負担などの制度は聞くが、私の住む地域では中学生以下は診察費・処方料等は無償となっている。
そこで疑問に思ったのが、「なぜ子どもには医療費を助成する制度があるのか」ということだ。子どもは保護者の管理下なのだから、障害のある方や高齢の方に比べて、医療費を払うのが困難になる可能性は低いと思う。それに、医療は全ての人に必要なものなので、子どもの医療費のみが無償になっていることが不思議に感じたため、調べてみることにした。
日本の公的医療保険では未就学児は2割、小学校入学後は3割を自己負担することになっていて、残りの7~8割は税金(社会保障関係費)から賄われている。〇歳以下は無償などこれ以上の保障は市町村などの自治体ごとに行われている。私の住んでいる市には「母子家庭・父子家庭」「重度心身障がい者(児)」など9種類の福祉医療費助成制度があった。それぞれ条件や補償内容は違うが、ほとんどは生活が困難である可能性のある人に対する制度だった。ではなぜ、子どもは身体的、経済的に良好であっても制度を受けることができるのだろうか。その理由のひとつとして、「子どもは体調を崩しやすい」ということが挙げられていた。子どもは免疫が未発達なため感染症等に罹りやすい。また活発なため怪我もしやすい。それによる家計の圧迫を防ぐため、この制度ができたそうだ。
子育ての経済的な負担を軽減する一方で、夜間・休日を問わずに受診する「コンビニ受診」が生まれている。その他にも過度な受診、検査、投薬など、無料であるがゆえに行き過ぎた医療を受ける人もいる。コロナウィルスが蔓延している今、医療現場は依然ひっ迫状態の中、不要不急の医療を受けることにより本当に必要な人に医療が行き届かないかもしれない。不必要なCT検査による放射線被爆など、逆に身体に悪影響を及ぼす可能性も捨てきれない。そしてその費用のほとんどは、私たちが納めている税金から支払われている。これから先は、ただこの制度に頼るだけではなく、過度な医療を受けない、受診する時間を見直すなど、自分達でできる医療コストの削減にも取り組んでいくべきだと思う。
私は高校生になり、子どもの医療費助成制度の対象から外れた。しかし、これからも税金に支えられながら医療を受けることに変わりはない。「無償化」は「タダ」ではない、「3割負担」は「値引き」ではないことを頭に入れ、税金とうまく付き合っていきたい。







