財務大臣賞
税でつながる社会
草津市立草津中学校 3年 奥村 心媛
「税」についての作文を書くにあたって父と話していると、滋賀県で導入を検討されているといわれている「交通税」というものを知り、どのようなものなのか興味がわき、調べてみました。
交通税は、名前はまだ仮称です。現在でも税収を含む県の収入の中から各交通会社に補助していますが、バスや地域鉄道などの地域交通の維持費用を将来新たに「交通税」という税金を作ることで地域交通に充てるという方式が考えられています。実現すれば「全国初」となるこの税の目的は、「地域公共交通を存続させるため」です。人口減少やコロナ禍を経た生活スタイルの変化などに伴って、鉄道やバスなどの利用者が大幅に減り、地域の足である公共交通の経営は厳しさを増しています。そういった背景があり、「公共交通を使う人も使わない人もみんなで支えていこう」という考え方が、新たな課税には反映されているのです。
私はこのことを知り、交通税を滋賀県が導入することで、滋賀の公共交通を維持できるという大きなメリットがあるため、この税の導入に共感しました。
しかし、メリットばかりではありません。それは、県民の負担が増えることに加え、地域公共交通機関の非利用者に不公平感が出てしまうことです。例えば、自分の車を持っておらず、移動手段が電車やバスなどの公共交通機関しかないという人にはこの「交通税」というもののメリットは大きいでしょう。では、自分の車を持っている人の場合はどうでしょうか。この場合、公共交通機関を利用しなくても自分の車で移動することができてしまうため、この税はただの負担増でデメリットと感じられるのです。
私はこの反対意見を知って、前述した自分の意見に自信が持てなくなりました。やはりまだ社会経験の浅い中学生の私には「税」について信念を持って意見を述べるだけの知識が不足していると痛感しました。それでも、色々と調べていく中で税のことを考えていくということは社会全体のことを考えることに通じるという気づきも生まれました。まさに税というものを介して、社会がつながっているのだと思います。
また、そもそも県が独自に新たな税目を作ることができることも今回初めて知り、税を身近に感じるようになりましたが、逆にいくらでも新しい税目ができて、将来どんどん負担が増えるのではないかという不安も覚えました。
今の税収が適切に使われているか、新しい税目が本当に必要か、そういったことを自分でも判断できるよう、今後も社会の動きに関心を持ち、勉強していきたいと思います。
そして、将来は納得して納税できる社会人になりたいと思います。