近畿納税貯蓄組合総連合会会長賞
税金によって繋がる命
高島市立マキノ中学校 3年 曽根 唯斗
僕には忘れられない日がある。僕は救急車という乗り物に一生乗ることはないと思っていた。鳴り響くサイレン・赤いライト。そして心強い救急隊の皆さんの声。今でもはっきりと覚えている。
一年前の夏休み。いつも通り部活をしていたときのことだ。僕はヘディングをしようとして相手と競り合ったとき態勢を崩してしまって頭を地面にぶつけてしまったのだ。目が覚めた時には救急車の中にいた。救急隊の方々がやさしく病院まで送り届けてくださったおかげで大事には至らなかった。あのとき救急車がなかったらと思うと恐ろしく感じる。
救急車の今現在の出動回数は七百万回を超えている。救急車の運用は行政サービスの一つで人件費、器具、ガソリン代など全て私たちが払っている税金でまかなわれていることがわかった。もし税金がなかったら一回の救急に四万円ほどかかってしまう。それを年間にすると約三百億円ものお金がかかっているのだ。僕はこの事実に驚いた。それとともに「今まで払っておいてよかった」とも思った。
僕は今まで税金に対してマイナスなイメージしか持っていなかったが、これをきっかけに税金は国民の生活を豊かにするためにあることを学んだ。そして今までより税金を身近に感じられるようになり興味が湧くようになった。
税金について調べてみると日本には「経済協力費」というものがあるとわかった。これは開発途上国の経済的、社会的開発や福祉の向上を目的として協力や資金援助を行う政府開発援助というものである。このような活動は貧困の人や生活が苦しい人を助けることができる。税金によって日本だけでなく、世界の人々も助けることができるのだ。今まで何気なく払っている税金が世界と繋がっているとは思いもよらなかった。
税金によって助けられる命はたくさんあり命を繋ぐために必要不可欠なものである。自分の払った税金が思い通りに使われないこともあるかもしれないが、世界のどこかの誰か一人でも助けることができるとしたら、これからも税に対する関心を高めていきたい。そして、税金が世界に果たしている役割を忘れず、これから社会に出ていったときにたくさんの税と関われるようにしたい。