近畿税理士会会長賞
僕の背中を支えた税
甲賀市立甲南中学校 3年 望月 蒼太
中学三年の春、僕は部活動で腰を痛め、病院で「腰椎の疲労骨折」と診断された。中学校で最後の大会前。そんな大切な時期での骨折、大好きなサッカーができなくなったことへの悔しさや不安でいっぱいになった。それから二日に一度病院へリハビリに通う生活が始まった。ある日、祖母が送迎をしてくれていた車の中で、ふと、こんなことを言った。
「そうちゃんはラッキーやったね。税金があるから、医療費、安く済んでるんやで。」そのとき僕は、「こんなところにも税金が使われてるの?」と驚いた。僕はそれまで、税金といえば買い物のときに払う消費税くらいしか思い浮かばず、「なんか損をするもの」くらいにしか思っていなかった。
でも、調べてみると、僕が受けている治療や検査の多くが、税金で支えられていたことが分かった。病院の窓口で払う金額が、ゼロだったのは、制度の中で誰かがすでに支えてくれていたからだった。さらに調べるうちに学校の教科書や給食、道路や公園、ゴミの収集や消防・警察など、身の回りのあらゆるところに税金が使われていることを知り、今まで気づかなかった「見えない支え」があることに驚いた。税金はただのお金ではなく、誰かが誰かを支えるバトンだったのだ。僕の医療費を支えてくれたのは、顔も名前も知らない誰かが納めた税金かもしれない、もしかしたら、その人も、誰かに支えられてきたのかもしれない。そして、いつか僕が大人になり今度は僕の税金が誰かを支えるようになるかもしれない。こんな風に、「支え合いのバトン」がリレーのように繋がっていく社会があることを、僕は初めて知った。それは、確かに感じられる人のつながりだった。一人ではできないことも、誰かの力で支えられ、成し遂げることができる。だからこそ、僕も誰かを支える一人になりたいと思った。その気持ちは、けがでつらかった時期に得た、一番大切な学びだった。
けがをしていなければ、このようなことには気づけていなかったと思う。悔しかったし、とてもつらかったけど、その時間があったからこそ、「僕は支えられて生きている。」と思えるようになったのだ。将来は、ただ納税をするのではなく、その税がどのように使われているのかにも目を向け、よりよい社会を作る一員になりたい。見えないけれど、あのとき、僕の背中を支えてくれていたのは、確かに税金だった。今度は僕が、誰かの背中を支える番だ。







