- 2023/11/10
- 命と税 西村優成
大阪国税局長賞
命と税
滋賀大学教育学部附属中学校 3年 西村 優成
買ったもの全てについてくる税金。なくなればいいのにと私は頭の片隅で思っていた。
教科書や黒板、机や椅子といった学校で使っている物には税金が使用されていることは知っていたが、私は学校以外の場での税金の使われ方を知らなかった。そのため、数少ない税金の使い道しか知らない私は、本当に私たちのために税金が使われているのだろうかと疑問に思っていた。
しかし、私は祖父との体験を通して税金のありがたさを感じる経験をした。私の祖父は4年前までは山にも一緒に登ったり、家の近くを散歩したりできていたが、それが徐々に一つ一つの動作が遅くなってきた。そのため病院で診断してもらうと、指定難病の進行性格上麻痺という病気であることが分かった。名の通り、祖父に会いにいくと、この前会った祖父と違い病気が進行しているのが目に見える。この前は椅子から立ち上がることはできていたのに、今はそれさえも難しくなってきているのだと思うことなどが会うたびにある。したがって、祖父は日常生活を送ることが日に日に難しくなってきている。それと同時に祖父の家に増えていくものがあった。それは、車いすや手すりなどの介護用具や福祉用具だ。それらを買うには多額のお金が必要であると思っていたので、父にどのくらいの費用なのかを聞いてみると無料で貸し出してくれているのだという。また祖父は最近、デイサービスをうけている。これは特定医療費助成制度と呼ばれる制度によって費用をおさえられているらしい。
その費用はどこからきているのか不思議に思い調べてみると、それは国が負担してくれていることが分かった。国の医療費からその費用はでていた。そして驚いたことに、医療費の約40%が、なんと税金で構成されていたのだ。祖父が使っている用具一つ一つには私たちの税金が使われていて、デイサービスも私たちの税金で支えられていたのだ。
これまでは、税金の使い道に不安を感じていたこともあったが、このような体験をした今、私のなかで税金は私たちの生活を深く支えてくれているものであるという認識に変わった。税金で助かっている人が祖父以外にもいると思うと嬉しい気持ちでいっぱいになる。不幸中の幸いにも私にはこのように税金の使い道について知る機会があったが、そうでない人も数少なくない。そのような人達に税金が色々な場所で使われていることを知ってもらうにも、税金の使い道を私はなお一層強く示していくべきだと考えるようになった。
昨日、今日納めた税金、そして明日納める税金で救われる、つながる命があるのなら進んで税金を今の私は出したい。
- 2023/11/10
- ヒーロー 木谷莉緒
滋賀県知事賞
ヒーロー
米原市立双葉中学校 3年 木谷 莉緒
何を書けばいいのだろう。この作文について考えだした時、何も思い浮かばなかった。しかし、記憶を巡らせる中で、一つ思いついたのだ。私にとって、税金が「ヒーロー」となってくれた出来事を。
今は元気に生活を送っている姉だが、6歳の頃に十二指腸潰瘍という病気になった。この病気は、全人口の数パーセントの人しかならない珍しい病気で、6歳の子供では耐えがたいような腹部の痛みや、貧血などが引き起こされる病気だそうだ。まだ、3歳で状況をあまり理解していなかった私だったが、姉が真っ赤な血を吐いた時は、小さいながらに、なにか大変なことが起きていると思ったのを覚えている。
それからというもの姉は、ご飯代わりに、体内に栄養を送るための点滴、検査や手術など、あらゆる治療を受けた。そして、長い闘病生活を終え、姉の病気は治った。
ここで私は1つ、ある疑問を抱いた。それは、治療費や入院費、手術費などはどのくらいかかったのだろうか、と。長い期間の入院それに加えて治療や薬、手術や検査のお金となると、ものすごい金額になるのではないか。
私は母に聞いた。すると、「そんなにかからなかったと思うよ」と言われた。不思議そうな顔をしていた私に、母は「税金」が様々な形で助けてくれたのを教えてくれた。
その1つが「国民皆保険制度」だ。この制度は「国民全員が健康保険に加入すべし」とし、医療費の自己負担が1割から3割でよいというものだった。また、入院や手術となると、「高額療養費制度」というものがあるそうだ。これは、この制度で申請すると、払った医療費の一部が戻ってくるというものだった。結果、どちらも少ない負担で、質の高い医療サービスを受けることができるのだ。母は、これらの制度のおかげで、お金の心配だけはせず、姉の治療に専念できた、と話してくれた。
私達中学生にとって、税金とは身近なものではなく、なんだかよくわからない、難しいものだ。しかし、考えてみれば商品を買うときに何気なく、税金を支払っている。それは、支出となってマイナスなイメージを持っている人が多いだろう。しかし、私の姉を救ってくれたように、税金は誰かの命を救う「ヒーロー」になっていることを忘れないでほしい。世の中には、姉のように病気を抱え、苦しく、辛い生活を送っている人が大勢いるのだ。そんな人たちを支え、助けているのが税金による補助制度だ。だから、税に対するマイナスなイメージを取っ払い、税を払う意味を再確認することが今後、とても大切になってくると思う。
私たちが何気なく払っている税金は、誰かの大切な人を救う「ヒーロー」になっている。また、それを払っている私たちも、誰かの「ヒーロー」になっていることを忘れないでほしい。
- 2023/11/10
- 教科書のあの言葉 東山愛
国税庁長官賞
教科書のあの言葉
近江八幡市立八幡西中学校 3年 東山 愛
2008年、私が生まれたこの年の消費税は5%だった。5%、8%、10%、15年間の間に2倍にも消費税が上がったということである。15%になる日も近いのではないか、そんなことを考えて、私は悲しい気持ちになる。両親が所得税や固定資産税を払っているのはもちろん知っている。だがそれらの税は私とは関係がないように感じていた。そんな中、消費税だけは小さい頃からずっと払ってきたし、身近な存在だった。お小遣いをたくさんもらえるわけではない。そんな大切なお金を消費税のために払わなくてはいけない。しかも、その消費税がどんどん上がっていく。ルールで決まっているから払う、仕方ないから払う。消費税に対して私はそんなマイナスなイメージを持っていた。
2021年の衆議院議員選挙の時、たくさんの政党が消費税を減税するという公約を出していた。コロナ過で経済停滞が続いていたこともあり、消費税が下がることはとてもいいことなのではないかと考えていた。だが、結局消費税を下げるという公約を出していなかった自民党が多くの議席を獲得し、消費税は変わらなかった。みんなは消費税が下がってほしいと思っていないのか不思議に思ったので、お母さんに尋ねると、「税金は悪いことばかりじゃないんだよ。」と言われた。疑問に思った私は、私たちが納めた税は何に使われているのか調べてみた。1番多いのは社会保障費で、2番目は国債費、3番目は地方交付税交付金だった。そして、私が注目したのは、文教及び科学振興という欄だ。全体でいうと6番目、割合的には歳出総額の約5%、決して多いわけではない、しかし確かにそこに刻まれていた。1人の中学生あたりの公費負担教育費は約112万2千円だそうだ。いわば大人の人には関係ないお金だ。しかしたくさんの人が私たちのためにお金を払ってくれている。そのことを痛感した。税があるからこそ私は学校に通い、勉強することができている。税のありがたさを実感した。私が払うのは消費税だけで、決して多いわけではない。しかし、私が払うその消費税もきっと誰かの役に立っているのだろう。「税は悪いことばかりじゃない。」その言葉の意味が理解できた。
「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」私の教科書に書かれているこの言葉の意味が今ではしっかりとわかる。「勉強がんばってね。」そんなたくさんの人からのメッセージを心に刻み、日々勉学に励んでいきたい。いつか自分もたくさんの税を払えるようになり、その税によって多くの人の笑顔がつくれるように。税は、助け合いのバトンなのだ。

















